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チャレンジの始まり 咲と芽依へ ドーバー海峡2WAYリレーチャレンジ データ

ドーバー海峡2WAYリレーチャレンジ

7月22日 日曜日
いよいよ明日 ドーバーに出発します. 今まで一生懸命練習してきたんだから絶対大丈夫! いろんな人に支えられてここまで来たんだからがんばるしかない!
7月23日 月曜日
いよいよ出発.
午前中はいつもと変わらない時間を過ごして12時半「武蔵藤沢駅」から急行に乗っ た.成田に4時30分過ぎに到着.定刻より遅れる事 30分・・19時にフライト. 機内食はシーフードランチで美味しかった.ビールも2本飲んでしまった・・. 香港に21時30分到着.のどが乾いたけれどジュースが買えない・・. (ポンドに全部変えてしまったので・・・.)カードを使えばいいのだろうけれど面 倒なので買わずに我慢.
7月24日 火曜日
今,香港にて引き継ぎ飛行機待ち状態.日本時間 午前0時25分. 時差は1時間.よっていまは23時26分.空港はかなり広くて綺麗. なんだかこれからまた10時間も飛行機に乗ると思うとゾッとしちゃうな.
結構日本人がいっぱいいる. ロンドンに行く人が多いらしい. 23時45分にチェックインするみたい. 日本ではみんななにしてるのかな?
7月25日 水曜日
起床7時半.8時にご飯を食べて9時に出発した. メニューはコーフレークにパン,目玉焼き,ベーコン, 豆,コーヒー.毎日だと空きそうなメニューだ.でも 食べないよりましかー.

海についたら昨日あったオーストラリア人達が練習に きていた. 私がシドニーオリンピックの水着をきていたら喜んで いたっけ.写真も一緒に撮った.今日は他にもロンド ンからマラソンできて,イギリスからフランスまで泳 いで,自転車でどこまでかわからないけど行く団体に も遭遇した.究極のトライアスリートだ. ロンドンから走ってきたって言っていたけど,2,300 キロはあるらしい.凄い人たちが集まる町だ.
私たちも負けじと練習を始めた.水温は昨日と同じ16 度くらい.でも疲労が無い分,とっても楽に泳げた. 1時間と少し長めに水に入っていたけど,手足のしび れ以外不調はない.

その後,「トッポジージョ」と言うレストランにて昼 食.ピザを食べた.あまりにもビッグなので二つ頼ん で久保さんと杏子と3人で食べた.

今日突然舞い込んだ情報.私たちが海に出ているとき, 浜で待機している石井先生がCSA(Channel swimmming association)のダンカンテイラー氏と会って話をした ところ,私たちのパイロットであるオラム氏は既に CSAの人間ではないと聞いた.びっくりして諸事情を 話たところ認定されていないもうひとつの団体組織が ありいつのまにかそこで登録していた.私たちが実際 にチャレンジ出来るのかどうか不安になった.
未公認でも全員がチャレンジできて目標を達成するこ との方が意味があると思った.それにしてもトラブル 続き.詳しいことは現在もまだ調査中.
大きな夢を持って日本で練習をしているチャネルスイ マー志願者の為にも明確な答えを出してもらいたい.

どうやら私たちは28日土曜日早朝5時スタートが濃厚 らしい.お天気になってもらいたい.
7月26日 木曜日
今日は昨日早く寝すぎてしまって早く目が覚めた. どんな一日なのかな楽しみ.
今朝も昨日と変わらない朝食を食べて,9時半に海に 向かう.昨日の件でダンカンテーター氏と会い,CSA 認定のパイロットを乗せることで公認できるとのこと.
とりあえず土曜日の早朝5時スタートに決定.日本時 間28日13時スタート.練習に気合いが入る.今日の練 習はとにかく調子がよかった.泳いでいて日に日に調 子があがっている.明日は練習最終日.いよいよ明後 日チャレンジだ.頑張ろう!

明日はお友達になったオーストラリア人達のリレーが ある.是非頑張って欲しい.
7月27日 金曜日
今日朝いつもの様に浜に練習に行くと,ダンカンテー ラー氏が居て正式公認パイロットを紹介してくれた.
そして・・・急遽,CSAの公認パイロットの船にて突然,今日午後3時スタートすることになった.
すこし早まったがいよいよチャレンジする ときがきた.自分のなかでの緊張感を持続させるには 時間はあまりかからないほうが良いとは思っていたも ののさすがにびっくりした.

船のうえで食べる食料を買い込んで,マクドナルドで 昼食をとりホテルに帰ってきた. 電話連絡して自分の気持ちを落ち着かせている. 明日の夜はどんなことを感じているのだろう.

ここまで来たんだ・・・やるしかない.
7月28日 土曜日
(チャレンジ真っ最中の為,日記は29日参照)
7月29日 日曜日
長い間夢を見ていたドーバー海峡横断2wayリレー
金曜日の午後3時40分にヨットハーバーから離れて出発地 点のシェークスピア湾に到着.
1泳の久保さんが岸ま で泳いでいった.いよいよ出発だ.

15時50分.スタート地点に数人の子供たちがいて手を 振ってくれている.久保さんはガッツポーズを決め込 み泳ぎ始めた.まだお日さまが照っているので外気は あたたかい.
2泳の小田切がスタートして30分過ぎ私も1回目の用意 を始めた.ストレッチをして日本から持ってきた「ア ミノバイタル」を飲んだ.そしてトイレに行ったの だが,それがまずかった.大揺れの中のトイレは船酔 いを更にきつくした.「酔い止め薬飲んだのに・・・ ブツブツ」とつぶやいた.

そしていよいよスタート.オブザーバーが「OK!Go!」
水に飛び込んだ.思っていたより冷たい.だけど調子 は良かった.30分経過の紙を見るまでは・・・・.
30分過ぎあたりから手足がしびれ,腕が思うように回 せない.そしてスタート前によった影響か泳ぎながら 吐きそうになった.
けど・・不思議なものだ・・ココ ではいたら餌だと思いとてつもないでっかい魚がきて しまうのではないかと不安になって我慢した(笑).
気分がすぐれないまま第一回目(17時50分〜18時50分) のスイム終了.
あがって着がえをしていたらさっきの船酔いがまた更 に襲ってきた.もうだめだ・・吐く・・そう思って船 から顔を出した.石井先生が背中をさすってくれてい る.そしてオブザーバーが手首につける酔い止めバン ドをしてくれた.寝れば大丈夫.そう言い聞かせて眠っ た.

目が覚めたら5泳の村山さんが既に泳いでいた.夕焼 けにそまった空はとてもきれいだった.
6泳の中井さんがスタートするときには,うっすら暗 くなりかけていた.ケミカルライトを装着している. いよいよナイトスイムだ.

次は23時50分スタート.2回目のスイムスタート. 船酔い状態はあったものの少し寝て気分もよくなった. 30分前から軽くストレッチをしてバナナを食べた.水 分もとりデッキに出てみた.案外静かな海.波もあま りなく以前の「アイランドスイム」の時よりも恐怖感 はなかった.
時間になり飛び込んだ.今度は水温が温かく感じた. そして調子も良い.ふと泳ぎながら空をみたら月が赤 く見えた.「日本で見る月と違うな〜」なんて思いも う少し頭を上に上げてみた.夜空に満面の星空.星座 まではわからなかったけれどドーバーの夜空を海から 見上げた.
やはり30分経つと腕がしびれてきた.足を無理に動か そうとするとつりそうになる.とにかく無理はやめよ う.泳いでいて少し悲しくなってしまった.時間が経 たない.あとどのくらい経ったら交代なのだろう.そ んなときは日本で応援してくれている皆の顔を思い浮 かべて気持ちを奮い立たせた.
時間になって交代した ときはあんまり記憶にない・・・というよりふるえて しまって着がえるのが精いっぱい.放心状態だった.
「とにかく寝なくては!」そう思って横になるけれど 内蔵から寒さがこみ上げてきて体が硬直してしまう. 力を入れていないのに両足がつった.こんな状態じゃ ダメだ.早く回復しないと次の順番がすぐに回ってき てしまう.気持ちばかり焦ってしまう.何か口にしな いときっと次の1時間もたない.無理やり食べ物を口 に運ぶ.しかし駄目だ.何をしても悪循環・・・

無言のまま横になった.目が覚めた頃にはうっすら朝 日が上ってきた.フランスが見えた!うれしかった.
4時50分にスタートした小田切がどうやら折り返すよ うだ.30分後の5時20分にフランスに到着.

手を大きく振る小田切に手を振り返す.船からの合図 ですぐにこっちに向かってくる.なんだか元気がでて きた.そしていままでなんのために練習してきたのか を振り返った.全部このチャレンジの為ではないか・ ・・.
もったいない.もっと楽しまなくては.
なんか1wayではもの足りなさを感じた.心の中で 「2wayで良かった」と思っていた.

3回目5時50分スタート.1回目,2回目に比べてとても 調子がいい.朝日の照り返しを自分の腕に感じながら 遠くに見える大きな船を眺めながら楽しく泳げた.さ すがに3本目ともなると体はきついのだろうけどなか なか良い.そしていろんな歌を頭の中で歌ってドーバー の海を堪能した.泳いでいるとサブパイロットが釣り を始めた.
「待ってよ〜でっかいのがきたら私は食べられちゃう じゃない・・・(汗)」そう思いながら眺めていた.
そしたらルアー釣りの様な釣り方でどんどん魚が釣れ ている.皆楽しそう.そうだ!私も頑張らないと.な んて思いながら泳ぎ切った.
着がえを済ませて少し休んだら,ちょっと寒さもおさ まったので海を眺めていると村山さんがハーモニカを 吹いてくれた.船に揺られながら聞くハーモニカもな かなか気分を落ち着かせてくれる.ふいにTONさんの ハーモニカを思い出して「帰ったらまた聞きたいな」 と思った.

しばらく石井先生といろいろな話をした.私の中での 最大目標であったドーバー海峡横断.それも2way.終 盤になってくればくるほどもったいなくなってきた. 冷水は確かに体に堪えて,でも終わってしまう寂しさ の方が強かった.
そんな中,6泳の中井さんの時,体調50cmぐらいある でっかいクラゲがいた.見るからに猛毒がありそうな すっごい奴.石井先生はゲットしたかったらしい(笑)

4回目は11時50分.きっと5回は泳ぐであろうと思い, 次に泳ぐ時の水着まで用意した.
日が落ちる前にイギ リスに戻れたらなあと思っていたら,うっすらイギリ スが見えた.少しだけどドーバー城も確認できた.

ゴールはもうすぐだ.

外気が温かいから救われている.これで外気も低かっ たら恐ろしいなと思った.4回目のスイム.やっぱり 冷たい.でもすぐに体は慣れた.最初はいつもそうだ. でもラスト前スイムだ,楽しもう!船に乗っていると きは食べ物を見ているだけでも「オエー」ってなって いるのに,泳いでいる時に船の上で物を食べているの が見えると無性に食べたくなる.あーチョコレートが 食べたい!
なーんでチョコを買わなかったんだろうと後悔した.
ドーバーの海は冷たくても夏は夏.日本と同じだから, お昼のスイムは比較的に楽だろうと30分位までは思っ ていた.ところが突然ゴーグルの間,目頭あたりが締 めつけられるように痛くなってきた.なんだか平衡感 覚が無いみたいで不安になった.
右目から涙が出始め頭痛もしてきた.

「まずい・・・こんな状態では死んでしまうのでは・ ・・」

必死で心拍数を上げようと呼吸数を減らしキックを打っ た.精神状態は前向きなのに体が言うことを聞いてく れないもどかしさを感じた.
「こんなところで死んだなんてしゃれにもなんにもな らない・・・」
とにかく時間が経つのを待つように後半泳いだ.交代 で中島さんが飛び込んでくるのがとても待ちどうしかっ た.そして時間になり交代してデッキに上がるなり, ゴーグルをおもいっきり外した.真ん中から外れた.
いままで外れたこともなかったゴーグルだけに凄い勢 いで外したのは間違いないだろう.
着がえを済ませて毛布に包まり,横になっていると, 中島さんが上がってきた.人の1時間って速い.泳い でいるときはあんなに長いのに.中島さんも相当参っ ているらしい.場所を移動してすこし楽になった.

船 前方を見るとイギリスが近づいてきている.ホワイト クリフやドーバー城がはっきり見える.あと1本だ.

終わってしまう.ふと寂しくなった.

でも納得できる 泳ぎをしたくてとにかく食べ物を取らなければと思っ た.体の中から温めないともいう保たないとも思った からだ.
無理してバナナ2本,アミノバイタル,パン, 吐いてもいいからとにかく食べよう,そう思った.

ラストスイム.5回目は17時50分スタート.
スタート前に石井先生がビデオを撮ってくれた. そん時に「ラスト楽しんで泳いできます.」とすーっと 答えられた.

ちょっと振り返ると私はいつも「頑張ります」と言っ ていた.
この半年間は本当の意味での「楽しむ」とい う言葉を理解していなくて肩にいっぱい力を入れてい たことを思い出した.

「ちょっとは成長したのかな〜?」

と思った.石井先生は「今までで一番いい顔している よ.生山さん」と言ってくれた.

うれしかった.いよいよラストスイム17時50分スター ト.水は相変わらず冷たいがなんだか楽しい.しばら く泳いでいると海の中から大陸が見たくなった.フロ ントクロールをしてみた.良く見える.気分がとって もいい.どんなに困難な事があっても必ずゴールがあ る.夢を追い続けていけば必ず実現する.泳いでいる ときに泣きそうになった.
苦しくてじゃない.目の前 に目標達成の大陸がそびえ立っている.そんなことを 考えていたら感極まったのだ.このひとかきひとかき で着実に進んでいる.
皆と力を合わせてここまで来れ たことを感謝していた.そして何度も何度も前を見な がらクロールをした.
ラスト1分前の紙を見たとき,

「えっもう?」

と初めて思った.それだけ5本目は調 子が良かった.泳ぎ終わったあとも石井先生や村山さ んにあれだけとばせて偉かったね・・・なんて褒めら れてうれしかった.

次の中島さんもかなりきつそうで泣きながら泳いでい た.船の上から応援した.自分の体のふるえがまだ止 まらない状態だったけど中島さんにも最後まで頑張っ て欲しかったから.
なんとか無事ラストの村山さんに 引き継いでゴールのホワイトクリフのたもとに到着.
村山さんが岸に近づくと50羽程のカモメがホワイトク リフから飛び立った.まるで皆を激励するようにも思 えた.ついにゴールした.

総トータル時間28時間45分 の大遠泳だった.

オブザーバのジョンさん,パイロットのホワイトさん, サブパイロットの方々皆と握手して喜びを分かち合っ た.
オブザーバのジョンさんは2年前の65歳の時にソ ロで2wayを達成したチャネルスイマーだ.今は67歳. とても優しい紳士だった.

石井先生のコメントとして「こんな穏やかなドーバー は珍しかったなー」と・・・え?穏やか?
ちゃんと船酔い,波酔いさせてもらいました. ホテルに帰りフィッシュアンドチップスとビールで乾 杯しました.とても心地よい眠りにつけました.
7月30日 月曜日
チャレンジが終わっても毎日ビーチに行っている.
昨日はさすがに水に入らなかった.静かな海を見てた. 「あーもうおわっちゃったんだなー」なんだか寂しかっ た.でも達成感でいっぱいだった.
夢を終えて
私のドーバー日記もこれで終わりだ.
でもこのことを きっかけに何に対してもしっかりと前向きに生きて行 けそうな気がする.次の目標はいつかはソロで・・・ と言いたいがまずはしっかりと自分の生き方を考えな ければ.マスターズにも参加して出来るだけたくさん のベストタイムを出し,長い距離の練習も続けていき たい.

ドーバーのリレーに参加した石井先生を初め村 山さん,久保さん,中井さん,中島さん,小田切さん, ビルさんに心から感謝しています.

最後に今まで私をサポートしてきてくれた夫,子どもたち,親族, 沢山の友人の協力がなかったらきっと今回の成功はなかったと思っています.

本当にありがとうございました.

チャレンジの始まり 咲と芽依へ ドーバー海峡2WAYリレーチャレンジ データ