トップページへ
Under Updating Everyday
ボルダリング 日記 お絵かき 更新履歴 その他 メール
 Translate to English by google

« earth | メイン | Phishing Mailにご用心 »

2008年01月28日

歪み    (仕事関係) /(日常の出来事とか家族の話とか) Bookmark and Share

今日の産経エクスプレスの記事。『「歪み」が心をほぐす』という川尻潤さんのコラム。
ざっくりと要約すると、日本の器にはわざと歪ませたものが存在し、世界中で「歪み」を許し、まして愛するなどということは非常に稀有な美意識であると。日本独特の「歪みの存在」は茶の「侘び」から生み出されたのではないか。自然の事物にはどこかわずかでも歪み、いびつなのである。「歪みを愛でる」ことは自然との同化、自然への尊敬を意味するように思える。とのことでした。

この人は清水焼禎山窯第十四代窯元ということで、「美」という観点からこの日本人の「歪み」に対する感性を考察されていますが、実は以前から俺もこの「日本人と歪み」については思うところがあるのだ。

それはモノ作りのこと。
日本人は帳尻あわせが得意だ。個々の部品が不完全であっても、完成品では完璧なもの、ちゃんと機能するものが出来上がっている。完成品には不完全なところが見つからないのだ。
ほとんどの外国人が日本人の作るものと同じものを作ろうとした場合、ひとつひとつの部品を完璧に作ろうとする。完璧な部品を完璧に管理して、完璧に組み立てようとする。結果まあまあ完璧なものが出来上がるのだが、日本人が不完全な部品で作ったものに太刀打ちできないのだ。しかも容易に想像できるように、同じものを作った場合かかるコストははるかに日本人が作ったものの方が安く出来る。
人件費が安い海外で生産されているものが多いが、これらは「日本人と同じもの」のレベルには到達できていないと思う。

俺はこれは、宮大工が培ってきた日本人がもつ感性ではないかと思っている。自然の木の自然な歪みを受け入れ、歪み同士をうまく組み合わせて相殺させ、見事な建築物を作り上げる宮大工はまさに帳尻あわせの達人だったのだろう。
そして、この日本人が持つ帳尻あわせのテクニックは俺の業界、「組込み」の世界でも確実に大きなアドバンテージを持っている。ハードウェアとソフトウェアの間を埋める部分、まさにこの部分はハードの不完全な部分をソフトで補い、最終的には完全なものとして動き出すのだ。
組込みソフトもCPUの能力があがり、メモリも潤沢に使えるようになり、高級なOSが使え、何層にもレイヤー分けが可能となってハードのことなど気にしなくてもほとんどの部分は出来るようになってきた。
しかし、一番肝心な部分、業界用語でいう「下位層」「低レベルレイヤー」では以前として、職人の業が必要なのである。
いくらアウトソーシングだオフショアだって言ってもこの部分が出来る中国人やインド人がいるとは思えない。
彼らは確かに安くてそこそこ能力がある人材もいる。そりゃあ人口を考えればあたりまえ。
しかし、彼らは自分に課せられた範囲の仕事を完璧にこなすが、相手側、この場合はハードの歪みを受け入れて対応する能力、感性、寛容さがないのである。彼らを批判する気は全くない。これはしょうがないのだ。日本人でなければ出来ない事なのだ。
そして、さらにいうと日本人でもこの才能に秀でているのはほんの一握りである。
この日本の組み込み業界を支えているのは1950年代60年代生まれで青春時代にアマチュア無線を趣味としていた元祖のオタク達である。彼らは電気工作に明け暮れ、秋葉や日本橋で買ってきたジャンク基板に胸をときめかせ、半田のヤニの香りをかぎながら不完全すぎるハードを動かし、思い通りに制御することに情熱をそそいでいたのだ。

お察しの通り俺もそんな人種だった。おかげで現在は仕事探しに苦労することはないし、まだまだ当分の間は苦労することはないだろう。そんな時代に生まれそんな環境で育ったことに感謝する。

俺ら初期のオタク達が引退する頃に日本経済はどうなっているんだろう。。。
実は俺は心配はしていない。第二世代のオタク達が既に活躍しているからね。


きっこの「練習日記2」はこちら

投稿者 nama : 2008年01月28日 18:30

コメント


>第二世代のオタク達が・・・

お呼びでしょうか???

ジーク・ジオン!

投稿者 モロ : 2008年01月28日 20:32

ちゃんとしたほうで活躍する様にww>モロちゃん

投稿者 なま : 2008年01月28日 21:06

コメントしてください




(書式を変更するような一部のHTMLタグを使うことができます)